胃カメラとは
胃カメラは、「上部消化管内視鏡」と呼ばれるもので、主に食道・胃・十二指腸の内壁を調べる検査のために用いられる医療機器です。同機器のタイプとしては、口からカメラを挿入する経口内視鏡検査と鼻からカメラを挿入する経鼻内視鏡検査があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
経口内視鏡とは
口から内視鏡(細長いチューブの先端にCCDカメラや照明、物をつかむ鉗子などが内蔵)を挿入していく、従来からあるタイプです。鼻からの挿入に比べ、若干太いので挿入の際に嘔吐反射が出やすい場合があります。そのため検査前に鎮静剤を静脈内に投与して、苦痛をできるだけ軽減させる状態にしてから検査を開始する医療機関もあります。鎮静剤によって、検査中は意識がぼーっとした状態になるので、苦痛が軽減されるようになります。
なお経口内視鏡は、チューブ(スコープ)の直径が10mm程度なので、鼻から挿入する径が細い経鼻内視鏡よりも高精細な画像で、食道や胃などの内壁の状態を確認できるようになります。
経鼻内視鏡とは
経鼻内視鏡は、鼻から内視鏡を挿入するタイプで、不快感や嘔吐反射が起きにくく苦痛が少ないとされているもので、多くの場合鎮静剤を投与しなくてもスムーズに検査を行うことができます。鼻に麻酔をしてから挿入しますが、稀に検査後に鼻の痛みを訴える方もいます。
また、経鼻内視鏡はどんどん進化しており、画質についても経口内視鏡と遜色ないとされるレベルの機器も登場してきています。
上部消化管内視鏡検査とは
上部消化管の観察にかかる時間は5~10分程度とされていますが、検査中にポリープを発見した、病変が疑われる組織があるという場合は、内視鏡でのポリープの除去や一部組織を採取しての生検(病理組織の検査)を行い、がんの有無を確認していきます。また、ピロリ菌感染の有無につきましても胃カメラによって確認することができます。
また検査前の注意点ですが、検査前日の夕食後からは絶食とし、胃の内部に食物が残らないように準備をしていきます。また、インスリンや血糖降下薬など、検査前には服用を中止していただく薬もあります。そのため服用されている薬があれば、事前にお申し出ください。
以下のような症状がある方は、胃カメラによる検査をお勧めします
- 吐き気
- 胃もたれや胃痛、胃膨満感
- 黒色便が出る
- 胸やけ
- 頻繁なゲップ
- のどの痛み
- 食欲不振
- 急激な体重減少
- 顔色が悪い など
胃カメラ(上部消化管内視鏡)によって、発見することが可能な主な疾患
- 逆流性食道炎
- カンジダ性食道炎
- 食道がん
- 食道裂孔ヘルニア
- 胃潰瘍・萎縮性胃炎
- 慢性胃炎
- 胃がん
- 悪性リンパ腫
- 十二指腸炎、びらん
- 十二指腸潰瘍
- 十二指腸ポリープ
- 粘膜下腫瘍 など
胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査の流れ
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1.消泡剤を服用
消泡剤によって、胃内にある泡を除去し、検査時に胃表面を見やすくします。
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2. 麻酔を使用
経口内視鏡では咽頭、経鼻内視鏡では鼻に表面麻酔をかけていきます。
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3.内視鏡を挿入
検査台の上で左側を下向きに横になり、内視鏡を挿入します。なお、鎮静剤を使用する場合は挿入前に投与します。(当院は鎮静剤の静脈内投与はしていません)
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4. 胃内などを観察
食道・胃・十二指腸の観察をしていき、異常がないか確認します。この時にポリープの除去や病変が見られれば生検(病理組織の検査)用に一部組織を採取します。
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5.検査終了
一通り観察するとカメラを取り除き、終了となります。観察のみであれば、5~10分程度です(個人差はあります)。